法定相続人の優先順位、範囲と相続割合

この記事は5分で読めます

「相続」は、簡単に言うと、亡くなられた人の「財産」を、その人に関係する人が受け継ぐことです。昔は、長男が家督も財産も全て引き継ぐ、というようなこともあったようですが、現代は特定の人が独り占めしたりすることはできません。通常は「法定相続人」となった人たちが優先順位の相応する割合の遺産を相続する権利をもっています。

ところで、「法定相続人」とはどのような人をいうのでしょうか。優先順位とはどのように決まるのでしょうか?ここではそのあたりについて詳しくご説明したいと思います。

1.法定相続人とは

民法によって定められた「相続人」の事を「法定相続人」といいます。亡くなった人(被相続人)の親族が相続人となる流れが一般的だという認識されているのではないかと思います。ですが親族といっても、「相続人の範囲」を法律で定めておかなければ収集がつかない状況になる可能性もございます。それではいつまでたっても「遺産分割」が行えません。そのような状況を避けるために、民法によって相続人の範囲を確定しました。これが「法定相続人」です。

2.法定相続人には誰がなるの?

では、「法定相続人」は、いったい誰がなるのでしょうか。
親族というと、配偶者(夫から見た妻、妻から見た夫)・子供・両親・祖父母・兄弟姉妹・孫・ひ孫・いとこ・甥姪・叔父叔母・・・と、多く挙げられますが、全員がなれるものではありません。

2-1.配偶者に適用されるルール

「法定相続人」にはあらかじめ決められたルールがあります。

●常に配偶者が相続人となります。
例えば、あなたの夫、または妻が亡くなられた時、あなたが生きていらっしゃれば、必ずあなたが相続人となります。

●戸籍上婚姻関係にあること
戸籍の上で、婚姻関係にある場合は、配偶者となります。

戸籍上婚姻関係にない(内縁関係・事実婚)のパートナーは、相続人から外れますのでご注意ください。

このような条件で、被相続人の配偶者が常に相続人となり、配偶者以外の人は次の順位で、配偶者と共に相続人になります。

2-2.法定相続人の順位

「遺産相続」を行う時、誰が相続人になるのか、どの割合で「遺産分割」を行うのかが重要となります。「法定相続」の場合、配偶者は常に相続人になると、先に述べましたが、他の相続人には順位があり、順位別に相続する割合が決まっています。
配偶者は他の相続人に該当がない場合、配偶者が単独で被相続人の遺産をすべて相続することになります。

「法定相続人」の順位とは
配偶者の次に、被相続人との関係別に、順位が定められています。優先順位が高い順に相続の権限が強く、法定相続分が決められています。これにより、親族で誰が相続人の権利関係を明確にすることができます。一般にはこの順位に基づいて「遺産分割協議」を行います。「遺産分割協議」については別の記事でご説明いたします。

2-3.順位が違う法定相続人

被相続人との関係によって、優先順位がある「法定相続人」ですが、配偶者の次に優先順位の高い順にご覧ください。

第1順位 被相続人の子供
子供が実子である事はもちろん、養子も実子と同様に相続になります。
また、非嫡出子(法律上の婚姻関係がない男女の間に生まれた子供)も含まれます。

子供が既に亡くなっている場合 ※1
被相続人の子供が既に亡くなっている場合→被相続人の孫、
孫も既に亡くなっている場合→ひ孫

また、子供が胎児であってもその子供は第1順位の相続人となります。
民法では、胎児は既に生まれたもの、とみなすとされています。
※ただし、胎児が死産した場合、相続人にはなれません。

第2順位 被相続人の直系尊属(父母、祖父母など)
被相続人に子供がいない場合→被相続人の父母が相続人
→既に父母と共に亡くなっている場合→祖父母がいれば祖父母が相続人となります。

第3順位 被相続人の兄弟姉妹
亡くなった人の子供も父母もいない場合→兄弟姉妹が相続人となります。
兄弟姉妹が既に亡くなっている場合→甥・姪が相続人となります。※1

※1.代襲相続
第1順位の子供が既に亡くなっている場合
→被相続人の孫、
孫も既に亡くなっている場合→ひ孫

第3順位の兄弟姉妹が既に亡くなっている場合
→甥・姪が相続人となります。

が適応されます。これを代襲相続といいます。

ただし、甥・姪が既に亡くなっている場合、甥・姪の子供に相続権が移ることはありません。

2-4.法定相続人の範囲

第3順位までの「法定相続人」が1人も存在しない場合、配偶者が単独で相続人になります。

先順位の相続人がいれば、後順位の人には相続権はありません。第1順位がいれば第1順位の人が、第1順位がいなければ第2順位の人がなり、第2順位がいなければ第3順位の人が相続人なります。

3.法定相続分とは

「法定相続分」とは、相続の割合や配分の取り分のことです。
民法では、誰が相続人になるか(法定相続人)だけでなく、どのくらい相続できるかを規定します。これを「法定相続分」といい、目安になるものです。「法定相続人」全員が同意すれば、「法定相続分」とは違った割合で相続することも可能です。

上記の第1順位~第3順位の相続人と配偶者の組み合わせによって「法定相続分」を確認してみましょう。

まずは基本形から

3-1.配偶者と子供が相続人の場合

法定相続分・・・・ 配偶者 1/2
子供  1/2

*子供が複数いる場合、等分します。
この場合の「家系図」は子供が2人なので、1/2×1/2=1/4となります。

法定相続分_配偶者1/2 子供 1/2

3-2.配偶者と直系尊属が相続人の場合

法定相続分・・・・ 配偶者  2/3
直系尊属 1/3

*父母がいる場合、等分します。この場合の「家系図」は父母がいるので、
1/3×1/2=1/6となります。

配偶者と直系尊属が相続人の場合

3-3.配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合

法定相続分・・・・ 配偶者  3/4

兄弟姉妹 1/4

*兄弟姉妹が複数いる場合、等分します。
この場合の「家系図」は兄弟姉妹が2人なので、1/4×1/2=1/8となります。
*亡くなった人と父母を同じくする全血兄弟に対し、父母の一方だけが同じ半血兄弟の「相続分」は全血兄弟の1/2になります。

配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合
以上が第1順位から第3順位の「法定相続人」の「相続」です。

この他に注意すべき「相続」があります。少し複雑ですが、こちらもご覧ください。

4.注意すべき相続

4-1.離婚暦がある人が亡くなった場合の配偶者と子供

離婚暦がある人が亡くなった場合の配偶者と子供
離婚暦のある人の「相続」は意外と多く、場合によってはトラブルにもなり兼ねないケースです。

夫が亡くなった場合の法定相続人は、
後妻       ・・・・ 法定相続人〇
子供B、子供C  ・・・・ 法定相続人〇
前妻       ・・・・ 法定相続人×
前妻との間の子供A・・・・ 法定相続人〇

残された後妻、子供B、子供Cにとって離婚暦があることすら知らないケースもあります。離婚暦があることを知っていても、前妻や子供Aと交流があることは少ないと言えます。

「遺言書」がない場合、「法定相続人」全員で「遺産分割協議」をして全員の同意がない限り、亡くなった人の「財産を相続」することは出来なくなりますので、この場合、後妻・子供B・子供Cは前妻との間の子供Aと「遺産分割協議」をしなければならなくなりますので、事前に「遺言書」など対策をすることをお勧めします。
また「法定相続分」は、

後妻       ・・・  1/2
子供B、子供C  ・・・ 各1/6
前妻       ・・・  ×
前妻との間の子供A・・・  1/6

*子供Aは後妻の子供B・子供Cと同じ「法定相続分」になります。

4-2.相続人の中に養子がいる場合

相続人の中に養子がいる場合
子供Bが養子に出たケースですがこのケースも意外と多く、ルールを知らないとトラブルになりかねないケースです。この場合、養父が亡くなった場合と実父が亡くなった場合の法定相続人ですが、

養父が亡くなった場合
妻である養母・・・・ 法定相続人〇
子供C・・・・ 法定相続人〇
養子B(子供B)・・・・ 法定相続人〇

実父が亡くなった場合
妻である実母・・・・ 法定相続人〇
子供A・・・・ 法定相続人〇
子供B・・・・ 法定相続人〇

*ここでの注意点は「養子」にいった子供Bが「法定相続人」になることです。

◆2つの養子縁組の違い
最近では「相続対策」として「養子制度」を利用するケースが増えてきました。
「養子縁組」には、「普通養子縁組」と「特別養子縁組」があります。

それぞれ「養子縁組」する際に要件があるのですが、この2つの大きな違いは実親のとの
関係が切れるか否かです。このことは「相続」においてどのような違いが生じるのでしょうか。

「特別養子縁組」
「実子」と同じ扱い
実親との関係が切れる  → 「相続権」は養親側の「財産」だけ

「普通養子縁組」
「養子」としての扱い
実親との関係も切れない → 「相続権」は養親と実親の「財産」の両方

「法定相続分」
養父が亡くなった場合
妻である養母・・・・ 1/2
子供C・・・・ 1/4
養子B(子供B)・・・・ 1/4

実父が亡くなった場合
妻である実母・・・・ 1/2
子供A・・・・ 1/4
子供B・・・・ 1/4

両家の「相続権利」があるのなら「普通養子縁組」で「養子」となった方が・・・などとも感じてしまうかもしれませんが、「実親」側の家族がこのルール知らず、そのために相続トラブルとなることが少なくありません。

最後に

このような形で、亡くなった人(被相続人)の「財産」は「法定相続人」が「相続」することになりますが、「遺言書」がある場合は状況が変わってきます。「遺言書」に関しても別の記事を掲載していきます。そちらも併せてお読みください。

「相続」に関するご質問、お悩みなどございましたらお気軽に「えがお相続相談室」までお問い合わせください。メールでもお電話でも結構です。私以外にも、さまざまな分野の相続の専門家がおりますので、皆様のお悩み、ご質問により各専門家が承ります。心よりお待ち申し上げてあります。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

  1. 特別寄与制度
  2. 代襲相続
  3. 戸籍・住民票
  4. 財産目録
  5. 一目でわかる 遺産相続 遺留分の割合
  6. 相続放棄

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。